震災被害からよみがえった、築約250年の古民家「継承する家」

所在地:茨城県稲敷市
主要用途:住宅 改修
建築面積:203.07 ㎡
延床面積:199.64 ㎡
構造/工法:木造伝統構法・石場建て
規模:平屋建て
竣工:2014年12月
施工:(有)古民家工房

250年程の古民家が震災の被害からよみがえりました。

東日本大震災で液状化したこの地域の建物は 軒並み全壊扱いとなり、解体を余儀なくされました。
この建物も液状化の被害を受け、大きな不動沈下と共に屋根が崩落、 壁等も大きな損傷を受けました。

余震が続く中、建物調査を行い、主構造に大きな被害が無い事を確認しました。
この建物がまだ生き続けられる事をお伝えしたところ、 建主さんはご先祖様から大切に受け継いできたこの家の再生を決意されました。

この建物が再生できたのはコンクリート基礎が無く、石の上に直接柱が乗った石場建ての家だったからです。
杭や基礎のある現代の建物では基礎ごと持ち上げる事は難しく非常に大掛かりな補修工事になります。
基礎が無いことで、バラバラに下がってしまった足元でも ジャッキを使って比較的容易に床を水平に直すことが出来ました。

改めて伝統の家づくりの良さを実感することになりました。

江戸時代から繋がる建物が平成の時代にもう一回り成長しました。
痛んだ部分は解体して新しくつくり変え、使える部品は丁寧に補修して出来る限り再利用しました。

一方、生活空間については 現代生活にしっかりとマッチさせた設備を備え、高齢のお母様も快適に過ごす事が出来そうです。

足したり引いたり、時代に合わせてカスタマイズしやすい事が民家の大きな魅力であり、長持ちする理由だと思います。